




ぼくは、中居裕恭の、500点に余るプリントを見て「うーん」と唸った。
そして次に完全に黙った。しばし後、ぼくは彼に「いいね」と、ひとこと言った。
もしかしたら、ぼくの声は、少し掠れていたかもしれない。
午後の光が、散らばったプリントの上で、眩しかった。
それは、まちがいなく、写真家同士、互いにもった、確かでしたたかな、時間の流れだったと思う。
去年の、晩秋の頃だった。
森山大道 (書籍帯より抜粋)
本のサイズ:21.2×28cm, Softcover,
本の状態:表紙、帯にスレ、多少の汚れがありますが、良好です。